2026.06.28
在宅医療栄養療法

不登校は治せる! 【動画⑤ まずは引き算から】

*****本動画の概要*****

・足し算よりもまずは”引き算”が必須

・3つの炎症 腸、上咽頭、肝臓

・まずは休息 ストレスを除かねば治らない

○ここまで述べてきたことを踏まえ、副腎皮質機能低下症の治療について説明します。早速足りないホルモンを補う、食事とサプリメントで栄養を立て直す、と言いたいところですが、はやる気持ちを抑えて、最初にせねばならないことがあります。それは引き算の考え方です。即ち、どうしてこうなってしまったのか?を省みて、ネガティブな要因を取り除く、ということです。

○真っ先に考えるべきは、身体の中に炎症を抱えてはいないか?ということです。知らずに抱えている、頻度の高い炎症は3つ。腸の炎症、慢性上咽頭炎、脂肪肝、です。

○腸の炎症の大きな原因となるのが食物アレルギーです。まず、医療機関で検査することのある食物アレルギーを、即時型アレルギーといいます。IgE抗体が関わり、その名の通り、抗原に暴露すれば速やかに、分かりやすい強い反応が起こるのが特徴です。アナフィラキシーといわれる危険な反応を起こすこともあり、特に小児期に問題となります。

○一方、これとは別に、IgG抗体が関わる遅延型といわれるアレルギーがあります。腸の炎症という場合は主にこの遅延型アレルギーを指しています。こちらは医療機関での検査ができませんが、知らず知らず、その影響を受けている人は多いです。お示ししている通り、ゆっくりと多彩な症状を起こすこと、またそのことに気づかれにくい、のが特徴です。

○あらゆるタンパク質が食物アレルギーを起こし得ますが、その中でも最も反応が強く頻度も高いのが、小麦に含まれるグルテンというタンパク質、そして乳製品に含まれるカゼインというタンパク質です。
○これらは強い抗原性を持ち、腸粘膜で炎症を起こします。

○また、有害な物質をブロックするための腸壁のバリア機能を低下させます。結果として、未消化の食物や細菌、毒素などがバリアを超えて血管内に侵入してしまいます。これをリーキーガット症候群といいます。結果として、体内に侵入した抗原が直接的に、また自己免疫的な機序を介して間接的に、多彩な症状を引き起こします。
○そしてさらに困るのは、腸で起こった炎症を鎮めようと、常にコルチゾールが動員されてしまうことです。慢性的にストレスの強い生活をしている場合と同様、このことがコルチゾールの浪費につながり、副腎皮質機能低下症の一因となってしまいます。

○食物アレルギーやリーキーガット症候群を避けるべく、小麦や乳製品を除去した食事のことをグルテン・カゼインフリー食といいます。この概念を世に広めたと言えるのが、テニスのノバク・ジョコビッチ選手が書いたこの本です。彼の生家はピザ屋さんで、彼はピザを好んで毎日のように食べていました。しかし試合ではここ一番で力が出せず、悔しい思いをすることが多かったそうです。ある時、そんな彼にグルテン・カゼインフリー食を勧めてくれた人がいて、素直にそれを実行してみたところ、頭の霧が晴れて、明らかにパフォーマンスが上がる感覚があった。2週間が経ち、十分に調子が良くなった後にベーグルを1つ、試しに食べてみたところ、ひどい二日酔いのような症状やめまい、頭の霧、などに襲われたことから、これまでは身体に合わないものを食べてしまっていたのだ、と確信するに至ったのだといいます。

○下痢や便秘などの症状がある場合は特に、あるいはそれがないとしても、なんらかの不調があって原因が分からないという方は、一度は食物アレルギーの潜在を疑い、グルテン・カゼインフリー食を試みるべきです。グルテンを含むのはパンや麺類、カゼインは牛乳、チーズ、ヨーグルト。
○それらを2週間、きっぱりと止めてみる。選ぶのは自ずと、和食になると思います。

 2週間でお腹の調子が良くなったり、頭の霧が晴れたり、という効果が実感できた方を、当クリニックでもたくさん経験しています。

 効果が実感できなければ、グルテンやカゼインはまた摂取すればいいと思いますが、ジョコビッチ選手のように、2週間中止してみたことで、再開した時に不調が改めて実感できるということもあるようです。

○グルテン・カゼインフリーを試みたがまだ下痢やおなかの張りが治らないという場合。もう一つ、知っておいてほしいことがあります。それは、FODMAP食品についてです。
 FODMAPは食品に含まれる糖類の中で、小腸で吸収されにくいものの総称です。小腸で吸収されない糖類は、浸透圧性の下痢を来したり、大腸内でガスを発生してお腹の張りや痛みの原因となったりします。

○様々な食品にFODMAPは含まれますが、特にニンニク、タマネギ、豆類、はよく摂取する食品であり要注意です。これらを中止して初めて、下痢が治まるということもあります。

 いつも下痢やお腹が張った感じがあるという方は、ぜひ一度これら食品の中止も検討してみて下さい。

○いずれにしても、まずは腸内環境に目を向け、身体に合わないものを知らず知らずのうちに摂取してしまっていないか、については、真っ先に考えてみるべきです。脳と腸とは密接に関係しており、腸のコンディションが悪いままで、全体像を改善させるのは難しいことなのです。

○上咽頭もまた、隠れた炎症に気づかれにくい場所の一つです。常に鼻づまりや乾燥、頭痛や肩こり、後鼻漏といった症状のある方には、慢性上咽頭炎の可能性があります。診断をつけるためには、耳鼻科でファイバーで観察して貰わねばなりません。○上咽頭炎と診断されて、上咽頭擦過療法が行われれば、炎症が治まるケースがあります。先ほど述べたような症状のある方は、一度耳鼻科を受診下さい。

○また、特に中高年の方では、虫歯の有無についても、一度は検討をお願いします。歯の根元にまで炎症が及ぶ歯髄炎や根尖性歯周炎などは、病巣感染症といって全身に影響を及ぼすことがあります。昔、「神経を抜く」治療をしたことのある方は、痛みがなくこれに気づきにくいので特に要注意です。

○最後に肝臓です。肝臓には栄養素の代謝や解毒、生体成分の合成や分泌、など、たくさんの働きがあります。エネルギー源を貯蔵する機能もありますが、肝細胞に過剰に中性脂肪が貯蔵された状態を、脂肪肝といいます。長期間、高度の脂肪肝は、肝臓に炎症を起こします。

○糖質の過剰摂取が原因で太っている方は、脂肪肝状態であることがあります。太っていることそのものが炎症を起こしている可能性があるとすれば、栄養療法以前に、ダイエットを検討する必要があります。

○ダイエットについては重要ですので、別の動画でそのノウハウと理論的裏付けをご紹介します。よくあるアプローチは、運動をして食べる量を減らす、ですが、このやり方では、基礎代謝が落ちるためパフォーマンスが落ちてしまいます。また、多くの方が空腹に耐えかねてリバウンドを来してしまいます。

○炎症ではありませんが、糖質の摂り過ぎで血糖値が上がったり下がったりすることも、コルチゾールを浪費してしまう大きな要因です。

 血糖値の下がりすぎを防ぐために、コルチゾールが動員されてしまうからです。
特に日本人にはインスリンというホルモンの分泌の弱い人が多く、血糖値が変動しやすいとされています。
○糖質の中でも、分かりやすく甘い単純糖質については、血糖値の急上昇につながってしまいますので要注意です。
○徐々に糖質の摂取を減らし、タンパク質や脂質の摂取を増やすことが、血糖値の安定、ひいてはコルチゾールの節約に繋がります。

○休む、すなわち思い切ってストレス環境から離れる、ことは、これらの要因を取り除くことと並び、とても大事です。学校に職場に、行かなければいけないのは分かっているけれども、行くことが出来ないんだ、という思いは、それだけでもストレス要因になります。週から月の単位で、思い切って休むと決めることが、結局は早道になります。

○ともあれ、自身にとってのストレス要因や炎症、血糖値の乱高下、など、コルチゾールを浪費してしまっていた要因はなんだったのか、を考えてこれらを除くことは、これから足し算の治療を行っていく上での、大前提となります。

PAGE TOP