この国を暗く覆う全体主義
2022年10月29日、耳を疑うような、そしてとても残念なニュースが飛び込んできた。日本将棋連盟の名人戦A級順位戦で、佐藤天彦九段が対局中にマスクの着用をしていなかった時間帯があり、対局相手からそれを指摘されて反則負けになったのだという。
連盟では臨時対局規定なるものを本年1月に定めており、ここには確かに、「マスクを着用しなければならない」とあり、反則負けの可能性にも言及されている。
しかし、である。
黙って対局している時に不織布マスクを着用することは、空気感染する感染症への対策としては無意味である。では連盟はどうしてそのようなルールを定めてしまったのか?反対意見はなかったのか?
十数時間という長丁場の対局の末のことであったという。没頭するあまりにうっかり着用を忘れたというだけのことだったのでは? 疑問ばかりが残る。
数日前、石川県予防医学協会に、毎年行っている自身のクリニックの検診のため赴いた。
入り口でマスクの着用を求められ、これを拒否したが、マスクを着用しないと検診は受けられないのだという。
確かに事前通知された中に「マスクの着用をお願いします」という旨、記載がある。今はどこの施設も枕詞のように使っている文言である。
「お願い」であればお断りしたいと思いますがと告げたが、それでは施設の利用はできないの一点張りで埒が明かない。
「事実上の強制ということですね?」との問いかけに、「そうなります」とのことであった。
それならば強制である旨、最初から堂々と書けばよろしい。しかし強制は法的にまずいのでは?と言いたかったが、それは堪えた。
全体主義がこの国を覆い尽くしている。
非科学。不合理。
理屈ではない、逆らえない空気。
そしてなによりも、唯々諾々とこれに従う、平和ボケした羊の群れ達よ。