2023.04.24
在宅医療栄養療法

特に改善が早かった13歳の少女

13歳の少女。

約半年前から立ちくらみ、吐き気、夜更かし朝寝坊、腹痛、下痢、頭痛、等の症状が立て続けに出現し通学ができなくなったという。

朝に調子が悪く、頭痛、吐き気とだるさのために起きられない。

昼に起床し、夕方からは元気になるという生活パターンで、夜更かしが改まらない。

受診した小児科医院では起立性調節障害と診断され、昇圧剤や漢方薬の処方を受けた。

2ヶ月間ほど治療を試みたが改善が得られなかったため、当クリニックを受診。

初診時、不安げな様子ではあったが、受け答えはしっかりとしており、さほど病的な印象は受けなかった。

しかし気分の落ち込みや情緒不安定、胸がギューッと痛むこと、があるとのことであった。

血液検査を行ったところ、タンパク質の摂取・代謝の不足、鉄、亜鉛やマグネシウムなどのミネラル、ビタミンB群の摂取不足が推定された。

タンパク質摂取の励行、サプリメントを用いての鉄・ナイアシンの積極的な補充をお勧めした。

キレート鉄剤等を服用開始してから約3週間。

立ち眩みがなくなり元気になりましたと再診時の表情はぱっと明るかった。

13歳らしい、好奇心に満ちてきょろきょろとした眼の力。

まだ本調子の6割程度であり、学校には行けていないというが、わずか3週間で治療効果が表れているということは、やはり問題の本質は栄養摂取の不足であったように思われ、今後も長足の改善が見込まれる。

少女にとって幸いだったのは母が勉強熱心で、プロテインを少量ずつながら1日3回の他、キレート鉄、マグネシウム、亜鉛、Vit.C,D,Eなど、自ら学んだ通りに積極的に補ってくれたこと。

しっかりと十分な量を補えば、成果が出るのも早い。

初診時の血清フェリチン値は19ng/mLであり、100-150ng/mLに充足するまではキレート鉄でも半年から1年程度はかかると思われる。

採血で確認しながら補充を続けていきましょうと話し合っている。

大人でも子供でも、特に女性にはこの鉄たんぱく質不足の問題が多い。

やっかいなことに、医療機関では「検査では特に問題なし」と評価されてしまい、迷宮入りしてしまう。

症状となって表れるか否かには個人差が大きく、検査結果と症状の程度とは相関しない。

なんらかの症状のある人は、積極的に栄養を補充してみるとよい。

原則はまずは食事内容の見直しであるが、栄養を補充することに副作用はないため、一定の症状がある場合にはサプリメントを用いることも積極的に試みるべきである。

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