ぐったりした高齢者にはクスリを整理してステロイド剤を
80歳を過ぎたご高齢の方が、「最近になりぐったりしてしまって食事も摂れなくなっています」と紹介されてくることが多い。
隠れている癌などの疾病がないという前提で。
そうした場合にまずすることは、1に現在服用しているクスリの中止。2にステロイド剤内用である。この2つで生き返ったように元気になる方が経験的に多数。
多剤併用は、複数の病院や診療科にかかっている方に多い。各科から3-4種類ずつ、併せると10種類以上を服用しているなどということはざらであり、肝臓への負担は計り知れない。これを中止するだけで改善するならば、まずは試みるべきである。特に認知症や精神に関わるクスリには、元気や食欲を奪う種類のものが多く要注意である。
従来服用していたクスリは十分に元気になってから、本当に必要なのかをよく見極めて少量から再開を検討する。高齢者に、”なにかを下げる”方向のクスリは必要ないことが多い。
加齢に伴い、また若い人でも強いストレス状態が続くことにより、生存に不可欠なホルモンである副腎皮質ホルモンの分泌が足りなくなってしまうことがある。
そのようなケースではステロイド剤の内用が著効する。
特に意欲や食欲の問題、関節炎発作を繰り返すという問題、とは親和性が高いと感じており、試みる価値がある。
ステロイド剤については漸減中止し得るケースも多く、ガス欠で衰弱した身体にエンジンをかけるような意味がある。食欲が回復しさえすれば、ステロイド剤を漸減中止しても、また走れるようになる方が多い。