あらゆる精神疾患に1本の縦軸を通す
『あなたの脳は壊れていない』 浮島真一著
やっとこの本を読了した。
しっかりと読むのは骨が折れた。
しかし、読んだだけの価値が十二分にあった。
診療の質がガラッと変わる。
これまで経験的にやっていたこと、不思議に思っていたこと、がするすると腑に落ちていく。
著者は、EBMならぬMBM(Mechanism Based Medicine)を前面に押し出す。
「生体は合目的に機能する」ことを前提に、観察事実として明らかなこと同士を、生理機序として繋げるのに躊躇は要らないと。
「症状にはそうなる理由がある」
「症状は限界を超えた状況への適応だ」
なるほどそうだよね。
現状、精神科診療は対症療法である。
興奮してるからドパミンをブロックする。
不安がちだからセロトニンを増やしてみる。
川の下流で起こっていることに対処しているが、上流でなにが起こっているのか?には目を向けていない。
農業革命以降、糖質を過剰に摂取するようになったことへの不適応。
その結果としての血液脳関門の破綻。
ここが全ての上流であると著者は主張する。
Evidenceなくんば事実にあらず。
という風潮があるが、エビデンスの有無にはどうしてもスポンサーシップバイアスが介在する。
「(未だ)エビデンスがないからそんな事実はない」とは言えないのだ。
著者は「これは仮説だ」と繰り返しているが、こんなにすっきりと説明できてしまい、経験則にも適うものは、きっと真実である。

