栄養療法について

基本的な考え方 ~オーソモレキュラー栄養療法について~
われわれの身体は約37兆の体細胞から成っています。そのひとつひとつが十分なエネルギーを産生し、各々の役割を十分に果たすことで結果として、身体は健康な状態でいられるのです。なにか不調がある場合、その症状や臓器だけに注目するだけでは不十分です。細胞レベル、分子レベルにまで遡って、代謝がうまくいっているか、それを妨げている要因はないかなど、考えなくてはなりません。
オーソモレキュラー栄養療法(orthomolecular medicine)は、「分子整合栄養学」と訳されます。適切に栄養を摂取することを通じて、細胞のコンディションを分子レベルで整え、様々な疾病や不調の改善を目指します。ただし病態によっては、オーソドックスな医療(標準治療)が必要な人もいます。その場合にも、根本にある栄養素の不足や体質にゆっくりと働きかけることで、クスリの量を徐々に減らすことを目指します。

どのような人が栄養療法の
対象になるか?

  • 1 原因がよく分からない身体のだるさや疲労、抑うつ気分
  • 2 アトピー性皮膚炎や花粉症、食物アレルギーなど重度のアレルギー疾患
  • 3 なんとしてもダイエットをしたい、糖尿病などのメタボリック症候群
  • 4 神経発達障害(ASD)、注意欠陥多動障害(ADHD)
  • 5 気分の不安定、不眠症、認知症やそれに基づく行動の異常
  • 6 スポーツでパフォーマンスを最大化したい

診療までの流れ

月・火・水・金曜日の午後、14:00〜、15:00〜、16:00〜の3枠を設けています。
ゆっくりとお話を伺うため、診察の予約をお願いします。

  1. 1 事前の問診に
    ご協力お願いします。

    現在お困りの症状、当方に求めること、これまでの経過・受診歴・薬剤歴・自身で試みたこと、自身の考え、などにつき。予診と予約フォームからお送り下さい。

    電子メールならばkhc1026@gmail.comへ。箇条書きで構いません。

  2. 2 初診の日時、時刻の予約を
    お願いします。

    ※予診と予約フォームから、または電話で予約をお願いします。

    tel 076-225-7010

栄養療法は
自費診療です

当クリニックの栄養療法は自費診療とさせて頂いております。下記の通り、費用負担が生じます。
自費診療を受けておられる方に限り、必要に応じグルタチオンやビタミンCの経静脈投与を行っています。
当クリニックで通常の保険診療を受けられる場合、これら自費で行う注射剤の投与はできませんのでご注意下さい。

自費診療としての
栄養療法の価格

栄養療法は自費診療です。

初診 5,000円 (概ね、60分間ほどを要します)
再診 15分間まで 1,500円 15分間以上 3,000円
血液検査 1回5,000円 (甲状腺機能を含める場合は+2,000円)
その他、ホルモンの検査などを追加で行う場合には適宜費用がかかります。

自費で行う検査に
ついて

当クリニックでは栄養状態の正しい評価のため、健康保険の適応とならない特殊検査を自費で行うことがあります。各々の検査の意義や解釈については、診療の際にご説明します。あくまで診療の一環として検査を提供しております。恐れ入りますが、検査のみの受診はお断りさせて頂いておりますのでご了承下さい。

検査内容 毛髪ミネラル検査 尿有機酸検査 遅延型食物アレルギー
(IgG)検査
唾液中コルチゾール検査
検査費用 24,000円 40,000円 38,000円 20,000円

※海外の検査センターに依頼する関係で、時価です。円相場等に依り変動しますので、気になる場合にはお問い合わせ下さい。
※遅延型食物アレルギーは94項目のIgG抗体を測定します。

サプリメントについて

当クリニックでは食事内容の改善を最も重要と考えていますが、病態の改善を目指す場合、特定の栄養素に関しては食品のみからの摂取では不十分な場合があります。そのような場合に、サプリメントの摂取をお勧めすることがあります。医療機関専門のサプリメントメーカー、MSS社、ヘルシーパス社と提携しています。初診後は両社から直接、サプリメントを購入することができます。 iHerb ( https://jp.iherb.com/ ) を通じての海外製サプリメントの購入も推奨しています。

当クリニックで行う
栄養療法

1原因がよく分からない身体のだるさや疲労、抑うつ気分
漠然とした症状のため、単なる疲れや寝不足と片付けられてしまいがちであり、病院で検査をしても、往々にして異常なしとされてしまいます。 副腎疲労症候群をご存じでしょうか? 副腎皮質ホルモンは別名をストレスホルモンといい、その名の通りストレスに対抗するためのホルモンです。 ストレスに溢れる現代社会では、このストレスホルモンが常に分泌されて副腎が疲弊してしまい、十分な量を分泌できなくなることがあります。 また、糖質の過剰摂取などによる血糖値の乱高下(dysglycemia)や、副腎皮質ホルモンの原材料であるコレステロール、合成の補酵素であるビタミン類やミネラルの不足も、副腎疲労の一因になり得ます。 副腎疲労症候群の診断、治療が、疲労感や抑うつ気分を改善する可能性があります。
2重度のアレルギー:アトピー性皮膚炎や花粉症、食物アレルギーなど
アレルギー疾患は近年明らかに増加してきています。 かつて花粉症は大人の病気でしたが、最近は子供達にも多くみられるようになっています。 食物も花粉もいわば、体外から体内に入ってくる異物と言えますが、十分に消化が行われ、適切に取捨選択が行われている限り、問題は起こりません。 食物アレルギーといわれる過剰反応、その他のアレルギー疾患は、消化やこの取捨選択がうまくいっていないこと、あるいは免疫寛容と呼ばれる「まあいいか」のシステムが適切に働いていないこと、がその原因です。 "内なる外"である腸管内と体内とを隔てる腸粘膜は、バリアであると同時に体内のリンパ球の70%が集中する免疫の中枢でもあります。 腸内環境を整えること、免疫を適切に抑制している副腎の機能を取り戻すこと、脂質を適切に摂取し細胞レベルで炎症を抑制すること、等により、アレルギー症状の緩和を図ります。
3なんとしてもダイエットをしたい、糖尿病などのメタボリック症候群
「どうして食べ過ぎてしまうのか?」 ダイエットが難しいのはなぜでしょうか? それはあなたの意志が弱いからではありません。 食べることを含め、我々の行動を決めているのはホルモンの働きとそれに基づく体内での化学反応です。 体重を減らすためにはまずその事実にしっかりと向き合い、食行動を引き起こすホルモンを制御せねばなりません。 多くの人は、ダイエットとは食べる量を減らして運動をすることだと考えていますが、これが完全に間違っていることは、これまでにたくさんの臨床研究が証明しています。 その方法で一時的に痩せても、減った体重が維持できなければ意味がありません。 エネルギー消費量の7割は基礎代謝です。食行動やエネルギー代謝、体重の増加に関わるホルモンを制御して基礎代謝を高いレベルに保つことは、太りにくい体質になることばかりでなく、エネルギッシュに毎日を過ごすことに繋がります。 体重のコントロールに、真剣に取り組んでみませんか?
4神経発達障害(ASD)、注意欠陥多動障害(ADHD)
自閉症や発達障害、ADHDなどといわれるコミュニケーションや多動、注意散漫などの問題を抱える方は、近年明らかに増加してきているようです。 不登校や引きこもりを始め、"生きづらさ"と表現される学校や会社といった組織への不適応のために、人知れず苦しんでいる方はたくさんおられます。 ほとんどの疾病は遺伝的な要因に環境要因が加わって起こりますが、増加してきている本症の大きな環境要因の一つが、食事の内容です。 糖質の摂取をコントロールすることによる血糖値の安定化、腸内環境の是正、隠れた食物アレルギーの除外、神経伝達物質を十分に作るための栄養素を補うサプリメントの使用、などを柱として行います。
5気分の不安定、不眠症、認知症やそれに基づく行動の異常
かつて躁うつ病といわれた著しい気分の浮き沈みや、BPSDといわれ介護のしづらさにつながる認知症の周辺症状。 これらに対し神経伝達物質を増やしたり、その作用をブロックするようなクスリを使って症状をコントロールしようとすることがあります。 神経伝達物質の多くは腸粘膜内で作られており、腸での合成がうまくいっているかどうかが、脳内でこれらがしっかりと働くか否かを左右します。 このように脳のコンディションと腸のコンディションが密接に関係していることを脳腸相関といいます。 神経伝達物質の原料としてのタンパク質や、合成段階での補酵素となるビタミンB群、ミネラル類がしっかりと摂取されているかどうか。 "畑"である腸内環境が整っているかどうか。 血糖値の変動(dysglycemia)がストレスホルモンの分泌や低血糖症を介して気分の不安定に繋がっていないか。 既にクスリを服用中の方でも、これらにつきまずはしっかりと確認すべきです。
6スポーツでパフォーマンスを最大化したい
米飯やパンが主食といわれるのは、それらが我々の主なエネルギー源だから、と思っている方が多いと思います。 しかし軽~中等度の労作が中心である日常生活において、エネルギー源として最も利用されているのは脂質(脂肪酸)です。 糖質を利用するのは強い筋力を発揮する力仕事やスポーツにおけるダッシュ等の高強度の運動においてです。 スポーツの種類によりますが、ほとんどの競技では持久力の有無こそがパフォーマンスを決めるのであり、栄養学的にこれを言い換えると、いかにエネルギー源として脂質を利用するか、ということになります。 脂質は糖質の約4倍の効率でATPを産生します。 脂肪酸を全身の細胞に速やかに十分に送り届けるためには、脂肪酸を水溶性であるケトン体という物質に転換する必要があります。 しかし糖質を摂取しすぎていると、この脂肪酸→ケトン体への転換が起こりません。 食事の摂り方を変えることで、糖質を中心としたエネルギー産生から脂質を中心としたそれに、徐々に切り替えていく必要があります。 ケトン体を縦横に使いこなすことが無尽蔵のスタミナに、ひいてはパフォーマンスの最大化に繋がります。
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