2025.04.10
在宅医療

リスクを減らすのは誰のため?

「血圧が150mmHgを超えてますので入浴させませんでした」にげんなりする毎日。

加齢に伴い、20歳の時には考えられなかったような変化が続々と顕れる。

それらを将来の疾病リスクと捉えて、

血圧値を下げ、血糖値を下げ、コレステロール値も尿酸値も下げ、
爪を切り揃えて水虫を退治し、

眼の乾燥にも眼脂にも目薬、

痛いところには湿布。

医療も介護もそれを目指す傾向にある。

しかし。
「既知のリスク要因は疾病の成因の半分も説明できていない」ことは、今や疫学・公衆衛生学においての前提である。
遺伝的な要因を含め、疾病の原因は非常に複雑であり、私たちが現在「既知のリスク要因」として捉えているものは、その全体像の一部に過ぎない。

患者のリスク要因を減らしましたと、仕事をした気になるのは違う。

年齢や状況、価値観などを含めた全体像を踏まえ、その介入が本当に当人のためになっているのかを真剣に、一緒に考えることこそが、臨床の醍醐味である。

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