2022.04.13
栄養療法

3日間連続のファスティングをやってみた

当クリニックではファスティング(=意図的な絶食)を指導します。

2型糖尿病や高血圧症を始め、肥満に端を発する疾病では、クスリではなくダイエットが唯一の根本的な治療になり得ます。

そしてリバウンドしない唯一のダイエット方法は、ファスティングです。

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従来からある、「摂取カロリーを減らし運動量を増やす」アプローチは、短期的には有効ですが、中長期的には必ずリバウンドを来します。

【理由1】

少なくとも食事をしてインスリンが分泌されている限り、体脂肪がエネルギー源として動員されないため、身体は基礎代謝量を減らしてエネルギー不足に対応します。基礎代謝が減るということは太りやすくなるということです。また、身体・精神のパフォーマンスが下がるということです。

【理由2】

インスリンの分泌量が減っていないと、体重のセットポイントが変わらず、身体は体重を元に戻そうとして食欲を亢進させる。

【参考】(リンクあり)

女性の健康イニシアチブ 米国で行われた大規模RCT 約5万人×7年間の追跡 低脂肪・低カロリーというアプローチでは7年を経て痩せられなかった 

一旦インスリンの分泌をゼロ~最小限とし、蓄えた脂肪組織をエネルギーに転換することなく、本当の意味で痩せることは出来ないのです。

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簡単な方法としては、食事を1食、あるいは2食抜くのも立派なファスティングといえます。

一方当然ながら、絶食の時間が長ければ長いほど、痩せる効果は大きく発揮され、インスリン抵抗性が改善され、エネルギー源として脂肪組織が動員されるため、ダイエット効果は大きくなります。

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今回、僕自身が3日間連続のファスティングに挑戦しました。

いきなり3日間連続というのはハードルが高いと思われるかもしれませんが、やってみたら意外に簡単でした。

1年以上前から、体重のコントロールのために1日2食としていたことも、達成を楽にしたかもしれません。

水分の他は、昼、夕に味噌汁のスープのみ摂取しました。

以下は3日間の気づき。

・体重はBW62.8→61.1kg(-1.7kg)、体脂肪率は21.3→20.0%、骨格筋率は54.1→55.0%。体脂肪が減り筋肉量は維持~むしろ増える(!)という、数字上は理想的な結果でした。

・3日目に朝からややふわーっとした感覚がありましたが、パフォーマンスは落ちず。むしろ3日間を通じ、頭は冴え、疲労を感じにくく集中することが出来た印象でした。

・もちろん食欲はあるので、食についてのアンテナが高く上がります。街で見かける食物についての看板や広告がやたらと目につきます。どれもこれもおいしそう。

・食欲には波があり、紛れると忘れる。波さえ乗り切れば大丈夫。

・味覚が鋭敏になる。コーヒーに甘さを、味噌汁やピンクソルトにかつてない旨味を、感じた。

・食べないのに飲酒だけしたいとは思わない。飲酒と食事は一体みたい。

・消化管に食物がないことに依る眠りの改善を期待したが、カテコラミンが分泌されているためか、なんとなくドキドキして眠りは浅いような気がした。

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食は楽しみ。人が食べるのは楽しむため、リラックスするため、交流するため。生存に最適な食行動と、人生を楽しむための食と。

本来は切り分けて考える必要があります。

肥満や生活習慣病で悩んでいる人は、1日1食のみとするプチファスティングから試みるといいかもしれませんね。

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