3ヶ月間ほどで劇的に改善した16歳女性 副腎皮質機能低下症+うつ病
16歳高校1年の女性。
中学1年の時に起立性調節障害と他院で診断されている。複数の医療機関、鍼灸院などを受診するが軽快せず。
高校1年になり、症状が増悪してきた。
食思不振(3-4割)、朝方に多い腹痛・嘔気・頭痛、夕方にはこれらが改善する。
マイナス思考。学校に行けない。
症状経過より副腎皮質機能低下症およびうつ病と臨床診断し、コートリル20mg/朝+ジェイゾロフト25mg/夕を開始。
【1週間後】
コートリル20mg/朝を服用開始し、朝起きられるようになった。
頑張って7時から8時には身体を起こして服薬し、午前中は横にならないようにしてください。
治療の3本柱はクスリ、食事、運動、です。
【2週間後】
やっぱり嘔気や不安感のために朝起きるのが難しいとのこと。
不安感に対し、ジェイゾロフトは25→50mgに増量。
L/D;Hb13.7/MCV85 Fe95/ferritin58.6 BUN10.9/Cr0.72 ALP61 AST14/ALT11 LDH160。
コレステロール豊富な卵、赤身の肉・魚をなんとか摂取して。
加えて、鉄、Mg、B群、ナイアシンをサプリメントから補充下さい。
【3週間後】
食欲が回復してきている。
朝は8時半には起きられている。
不安感も緩和している。
【5週間後】
22時に就眠、7時には起きられている。
食欲は旺盛。サプリメントも摂取している。
経過良好につきコートリル20mg/朝、ジェイゾロフト25mg/夕に各々減量。
【7週間後】
さらに症状軽快。自信ありげな表情。
コートリルは10mg/朝へ。
クスリは減ってきましたが、サプリメント療法は半年間程度は続けましょうね。
【14週間後】
調子よく、ジェイゾロフト25mg/夕は中止してみたが問題なしという。
コートリルも中止の方向で検討ください。
終診。以後受診なし。
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初診時の症状を考えると、3ヶ月間で終診にまで至るのはかなりうまくいった方である。
半年から1年、長いと数年間、治療期間を要する場合もあり、むしろそちらの方が普通。
生来の体質や、これまでの取り組みによる栄養の充足度合い、などが関連していると推測される。
年齢や性別を考慮すると、なるべくクスリを使いたくないのは山々であるが、「食べられない」レベルにまでホルモンの不足が深刻だと、望ましい栄養について指導したとしても、これが摂取できない。
本症例がそうだったように、最初は素直に補充した方がスムースである。
最初はクスリを用いるが、なるべく短期間で減量し、最終的には中止に向かう。
サプリメントも同様に中止を目指すが、クスリを卒業しても当面は続ける方が無難。
