未だに病院との文化の違いに驚く
病院のスタッフから見た在宅医療。在宅側から見た病院。
立場が異なれば見え方も考え方も、違うのはまあ当然。
しかし。あまりに違いすぎていて驚くことが今でもよくある。
Aさんは脳梗塞後遺症の寝たきり状態で人生の最終末段階にある。
入院のまま最期を迎えるのはあまりに可哀想、少しでも自宅に戻してあげたいと奥様。
病院では1000mg/dayの補液をして、痰が湧きますのでと退院前に家族に吸痰の指導。「これができないと自宅には戻れませんよ」だって。
退院したその足で早速、在宅のスタッフと家族とで話し合い。
自宅に戻ってきた意味は? なにを重視したいか? どうなれば最高にハッピーか?
奥様は吸痰はできるようになったが、処置をすることが「とても可哀想だ」と精神的に大きな負担を覚えながら戻ってきたらしい。
充分な量の経口摂取はいきなりは無理。
お楽しみのほんの少量でも十分なんですよ。
結論として、点滴は全て中止へ。痰が湧くもんね。
奥様のほっとした顔。
どこまで食べられるようになるか。それは本人の体力次第なので、やってみないと分かりませんが、覚醒している時にぜひ試みましょう。
病院は検査をして治療をすることが前提の場所。
それは分かっている。
が、こういう話し合いを経て意志決定をしたのでないとしたら、人の尊厳を扱う仕事として、あまりにも寂しいことではないか。
若い頃に地方の病院で勤務医をしていた頃の自分に今、そう言いたい。