デジタル管理は必要
例えば。
身体障害の公費番号(85)の証明書は医療保険証と同様、毎年更新される。その数ヶ月前にその年の所得を確認する書類が役所から郵送されてきて、これに正しく返送していないと、証明書が患者に送られてこない。
あれ?身障の証明書は? え?送られてきてないの?
というやりとりが患家でしばしばあり、家捜しをしたり、家族に問い合わせるなどしてようやく、「あーそういうことか」となることも多い。
マイナンバーカードに関しては、反対の声が日増しに高まっている。利便性や必要性に関する説明が不十分なままポイント付与で作成を誘導するというせこさ、後出しで銀行口座への紐付けが発表されたこと、事務手続きを自治体に丸投げしたためにヒューマンエラーが目立ってしまったこと、など、確かに突っ込みどころは満載である。
しかし、高齢者医療に携わる者としては、各論はともかく、総論としてはこうしたデジタル管理に賛成である。全ての書類のやりとりを郵送で行っていくことは、高齢者や認知症がこれほど増えた世の中においては、もはや限界である。役所側の、特に電話での問い合わせなどに関する時間的なコストも膨大だろう。
公的保険の情報、各医療機関で行った医療の内容とその結果、投薬状況、フェイスシートに書かれるような基本情報など。これらはシームレスに、関わった医療・介護・福祉の関係者で共有されるべきである。これまではそれを紙ベースで行い、入退院や転居などに際して情報ぶつぶつ途切れていた。
働き方改革とは単に労働時間を短くすることではなく、アナログをデジタルに転換して、無駄な労力とコストを削ることだろう。マイナンバーの元々のコンセプトはそういうことのはず。
乱雑を極めた部屋で、何ヶ月か前に届いた郵便物を探すのは、もう御免蒙りたい。