それが味わいというもんじゃないか
普段はそらまめ将棋クラブで使っている木製の盤駒を、屋外で開催された将棋イベントに提供させてもらった。
途中、にわか雨で駒が少し濡れてしまったのです。すぐに拭いたのですが…と申し訳なさそうな主催者。
価値観は人それぞれだが僕は、『雨に濡れたことのある駒』ってなんかかっこよくない? と考えるタイプ。
その駒に味わいと深みを与えてくれると思う。
帰りの道中つらつら考えるにこれは、中学校の時の美術の教師、彫刻家の山瀬晋吾先生の影響だ。
先生はなんでも大袈裟に褒めてくださる人だった。
絵心ない芸人顔負けのひどい絵を提出した時、「こんな良い絵が描けるじゃないか!」と褒めて下さった。
彫刻で作ったハンコの縁が欠けてしまって、おずおずと持っていった時も、「なにをいってるんだ君!、これが味わいというもんじゃないか!」と逆に褒めて下さった。
味わいという概念が、単なるうまい下手とか、整っているかどうかとか、そんなことを凌駕するのだと先生は教えて下さった。
あの時あの先生に出会えてラッキーだった。
50歳にして感謝している。