高級食材
行きつけの日本料理屋さんのご主人から聞いた話。
高級食材を使って美味しいものを作れるのは当たり前。
本当の料理人としての勝負は、ありあわせの、たまたま冷蔵庫に残っていた食材を使ってどれだけのものが作れるのか、である。
修業時代に、先輩料理人に振る舞う“まかない”を、その厳しい条件で作り、辛辣な意見を聞いてきたのだという。
なるほど修行って、そういうものだよねと感心。
考えてみればこの話は、医療にも通ずる。
24時間CTが撮れる病院で一定のレベルが担保されるのはある意味当然。
本当に腕前が試されるのは、呼ばれて深夜に、なーんにもない患者宅で、自分独りだけで、なんらかの判断や対応をせねばならない時である。
そうした時にこそ、患者や家族と信頼関係が築けているかどうか、五感で情報収集できるか、人生観を含めた患者の全体像を踏まえることができているか、そういったことが試される。
医療の本質は詳しい検査や高額な治療ではなく、そこにこそある。